2019/01/28 04:00
最近の研究で、がんの発症には活性酸素が深くかかわっていることが次第にわかってきました。がんは遺伝子の情報伝達エラーによって起こる病気です。
私たちの身体の中では、常に古い細胞と新しい細胞が交代していますが、新しい細胞は特殊な細胞は除いて、形や性質がまったく同じものにコピーされます。細胞の再生はDNA(遺伝子)の遺伝情報に狂いなく、統制のとれたものでなければなりません。
ところが、活性酸素がそのDNAを傷つけ、細胞の再生エラーが起きるのです。これを細胞の突然変異といい、がんもこの突然変異なのです。
残念なことに、私たちは遺伝子の中に、正常な細胞をがんにしてしまう働きのある「がん遺伝子」を生まれながら持っています。
遺伝子に傷がついた細胞はがん細胞となりますが、このとき細胞を無限に分裂・増殖させるがん遺伝子?の「がん化命令」はその細胞だけでなく、その周囲の細胞にまで効力を持っているのです。
そして、このがん遺伝子が働きだしたことで、異常な塊となるほど細胞が増え、やがて本物のがんになります。
がんの発症過程
第1段階 イニシエーション
遺伝子の異常が生じる
第2段階 プロモーション
さらに、がん化を促進する刺激が繰り返し加わる。
第3段階 プログレッション
がん化した細胞が組織内で目に見えるかたまりへ変化
媒煙や排気ガスに含まれる数多くの発がん物質?が細胞のがん遺伝子を傷つけてイニシエーションを起こしますが、これらの化学物質のほとんどが活性酸素の発生源となります。
さらに、紫外線や放射線(X線)による遺伝子の障害も、二次的に発生する活性酸素によって起こります。
そして、活性酸素が細胞膜やたんぱく質、また核酸を継続的に攻撃すると細胞全体が常に酸化されて、次の段階であるプロモーションになります。